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歴史ある温泉の町 温海町の将来の為に
七世紀に修験道の祖である役行者(えんのぎょうじゃ)が発見したと伝えられ1000年を超える歴史をもつ温海温泉と温海町。町の名は川の中から湧出した温泉が、河口の海をも温めたことに由来すると伝えられています。山懐に抱かれ温海川沿いに温泉宿の連なる静かな町。この町にかつての温泉街の賑わいを取り戻そうとする温海町の「湯のまちリフレッシュ事業」は、平成12年に葉月橋通りと葉月橋の改修整備を手始めにスタートしました。



整備前の葉月橋通りと葉月橋
近年温泉町に共通する悩みは、「人が町を歩かないこと」、「温泉らしい風情が失われたこと」にあります。観光そのものの変化、旅館自体の変化など要因はいくつかありますが、少なくとも訪れた人が町に寂れた雰囲気を感じて期待を裏切っている事実は否めず、温海町の将来に危機感を抱く人々が立ち上がりました。

事業は町と地元温泉旅館関係者が一体となってまちづくりを勉強することから始まりました。アドバイザーとして招かれた東京大学の堀繁教授は既に山形県下の多くの地域づくりの課題に積極的に取り組まれていましたが、温海町を訪れ「まちがなんて寂しいのだろう」「温泉町らしさがどこにも見当たらない」という第一印象をもたれました。早速出来るだけ多くの町の人に参加を呼びかけた「まちづくり勉強会」がスタートし、同時に「湯のまち景観整備検討委員会」が発足しました。堀教授を委員長とし、町と温泉旅館協会の主要メンバーが中心となり、専門コンサルタントが参画した本格的なまちづくりの議論がスタートしたのです。

平成12年度。1年間の熱心な議論の成果として基本計画と設計がまとまりました。 葉月橋通りと葉月橋を「人間中心の道」として再生すること。訪れた人、町の人が楽しくくつろいで通りのぶらぶら歩きを楽しみ、季節ごとのまわりの風景を味わい、町の良さを実感できることをテーマとした通りの計画の骨子が固められました。この経過のなかで、



現地での原寸大の施設検討

「まち」は「とおり」と「いえ」で成り立っている。両者が一体となって「まち」が変わる。

人と車の共存。車を排除するのではなく、人が中心を通り車は気遣いながら脇を通る。

「いえ」である各建物が通る人に「もてなし」の気持ちを表すことを工夫する。

など「まちづくり」で大事な基本の考え方が示され、「誰かが」ではなく「自分たちが」まちづくりに参加して、考え、つくり、育てていくことを知りました。
平成13年度道路の実施設計、平成14年度の工事発注と、実現のプロセスに移りながら基本設計の考え方がさらに詳しく、丁寧に検討されました。交通安全対策やコストなどいくつかの問題も出てきましたが、堀教授は現地に何度も脚を運びながら真剣に皆を指導され、町の人も「基本の考え方」に絶えず立ち戻ることを忘れず、粘り強く問題を解決していくことが出来たのです。この間に設計に携わる技術者、工事を受注した現地企業の方々、制作に携わる人々など実現に向けた多くの実務者たちも、従来の考え方や経験に捉えられることなく、「基本の考え方」の理解のもとに「人間の尺度にそって丁寧に」技術課題の解決に力を尽くすことができました。



平成15年5月17日。山並みが見事な若葉や藤の花の色に彩られた通りのオープンセレモニーの日。通り中央に植えられたケヤキとしだれ桜、そして温泉町ならではの風情を醸す「あんべ湯」と命名された足湯。地元の人たちがにぎやかに集うなかでこの3年間で「通りと橋」が見事に変身したこと。そして関係した町の人々がさらに素晴らしく力強く未来に夢を語る人々に変わったことが確認された日です。



町の紹介と挨拶を記した銘板(路面に設置)

写真集 写真集
施主
山形県温海町

景観指導(委員長)
東京大学 堀 繁 教授

委員会委員
山形県庄内支庁、湯温海自治会、温海温泉観光協会、温海温泉旅館協同組合、温海町、前田環境美術株式会社

基本設計
前田環境美術株式会社

実施設計
新構造技術株式会社

施工
株式会社マルゴ

意匠管理(アドバイザーとの調整)
前田環境美術株式会社

Back Number


case.01
湯のまちリフレッシュ事業

1000年を超える歴史をもつ山形県温海温泉と温海町にかつての賑わいを取り戻す


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